お酒コラム

Sake Column

日本が誇る伝統的発酵食品「日本酒」に長年携わってきた老舗の酒屋ならではの観点で、日本酒に関するさまざまな知識・情報を発信。毎回いろんなテーマで更新しています。

2021.03.10

その7 生酒? しぼりたて? あらばしり?

 

今回は、この三つのタイプのお酒の違いについて。
年末からこの時期に入荷しているお酒のほとんどのお酒がこのタイプのお酒になります。
「生酒」とは、火入れ(腐敗を防ぐために低温[60~65℃」で行われる加熱殺菌の行程)という作業を一切していないお酒で、日本酒本来の甘味や酸味、旨味、渋味などを充分に楽しめるお酒です。
しかし、火入れをしていないので変化しやすく冷蔵での管理が必須となります。
また「しぼりたて」とは、生酒の中でも上槽したばかりのまだお酒の中に炭酸をわずかに含んだようなフレッシュなお酒の事です。
「あらばしり」とは、槽の中に酒袋を積んでゆくとその重みだけで、白濁したお酒が流れ出てきます。
その最初に出てきた部分のお酒の事をいいます。
ちなみに、その次の徐々に圧力をかけはじめた部分を「中取り」
最後に圧力をかけきった部分を「責め」と言います。
「しぼりたて」「あらばしり」のフレッシュさは、その時期にしか味わえないものとなります。
日本酒には季節によってさまざまろなタイプのお酒があります。
冬には、できたてのフレッシュなしぼりたて。
または、もろみの残ったにごり酒。
にごり酒でももろみをほんの少しだけ残した霞酒。
夏には、ドライな辛口。
秋には、旨みののった熟成タイプのお酒。
日本人らしく、季節をそれぞれに楽しむ事ができるのです。
この時期にしか味わえない「しぼりたて」。フレッシュでフルーティーな味わいを楽しまないと、もったいないですよ!