2021.02.17
その3 時間がお手伝い
日本酒やワイン、焼酎などのアルコール類は熟成させる事によってまろやかになり、複雑みが増します。
熟成とよく似たものとして、「発酵」「腐敗」というものがあります。
まず、腐敗と発酵の違いはというと、ただ単に、人間にとって有益かどうかの違いしかないのだそうです。そもそも、腐敗も発酵もメカニズムは同じものです。
しかし、腐った豆は食べるとお腹を壊したりしますが、納豆の場合は身体にもいいです。
なので、納豆は発酵、食べ残しの枝豆だったら腐敗となるのです。
熟成はというと、この場合は、うま味が増すものを熟成というのだそうです。
うま味も増さず、腐っていくだけなら、やはり、ただの腐敗なんですって。
では熟成がすすむと、お酒の中ではどういうことが起こっているのでしょうか。
まず、徐々に色が透明だったものが、黄色っぽくなっていきます。
これは、アミノ酸と糖が化学反応を起こし、褐色のメラノイジンと呼ばれる物質が生成されるためと考えられています。
しかし、メラノイジンがお酒をおいしくしているとは考えにくく味わいが変化するのは、アルコールとお水が調和するためだそうです。
人間の舌はアルコール分子を直接舌に感じるとピリピリとした刺激を感じます。
しかし、アルコール分子を水の分子が包み込むと刺激が弱まりまろやかに感じるわけです。
こうした状態になるためにはそれなりの時間が必要で一朝一夕にはできません。
長期間寝かせることで徐々にアルコール分子のまわりに水の分子がくっつき、最後には全体を覆うようになる、それを熟成した状態といいます。
最近は技術の進歩で短時間で熟成に似た事も出来るようですが、やはりじっくり時間をかけ自然に熟成させたものには品格が漂うというか、歴史の重さを感じるわけで一味違ったものになるのです。